2021年10月の記事一覧

会長就任挨拶

 

 

 

 

 

 

会長 小形昌徳 

 Web開催された4 月22日の総会におきまして,黒田前会長の後任として耐火物技術協会会長を務めることになりました小形でございます。諸先輩方によって築かれた歴史ある協会を更に発展させるべく全力を尽くす所存ですので,会員の皆様方のご支援ご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。
 さて,協会のこの一年間を振り返ってみますと,新型コロナウイルス感染症の猛威により講演発表行事の多くは現地開催が中止となり,準備にご努力いただいた方々には誠に残念な結果となりました。コロナ禍は未だ事態の収束が見えておりません。今年度も状況次第で講演会等の中止があり得ますこと,ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。
 理事会につきましてはWeb開催が導入され,協会の運営には支障をきたしておりませんが,理事の皆様方と顔を合わせてご相談する機会が限られたのは残念でした。しかし,こうした不便な状況におきましても,企画委員長がまとめ役となって協会活動の見直しが活発に議論されました。これからの2 年間はその検討結果を着実に実行する期間だと考えています。
 ここで改めて,協会活動の見直しの議論を振り返ってみます。
 耐火物技術協会が設立された当時の状況は,第1 回国際耐火物会議の特別講演において,「1948年,耐火物メーカー及び鉄鋼側からなる専門委員会を設けた。
爾来,年2 回の専門委員会は,当面する問題を常にフランクに討議し,そこに相互研鑚の場が形成されてきた。」と述べられています。1958年には日本学術会議124委員会として,塩基性耐火物に関する産学連携の場が生まれました。その後,高度経済成長期,さらにオイルショックによる製鋼プロセス変革期において,新プロセスに対応する新しい耐火物の開発にメーカーとユーザーが一緒になって取り組んできました。その結果,現在で言うオープン・イノベーションを先取りした形で,1970年代から80年代にかけて耐火物技術の革新をもたらしました。
 一方,1990年代以降,経済のグローバル化の加速によって耐火物メーカーは安価な輸入品との競争に直面し,企業間の合併も進みました。耐火物技術は,全体として成熟に向かいつつも,差別化商品の切り口として環境対策,省力化,機能性が注目されました。特に「環境」は,それまでは省エネ,作業環境,廃棄物が主たるテーマであったのに対し,地球環境の視点からより活発に議論されるようになりました。こうした時代の変化を背景に,協会の活動は企業間で共通した技術課題の解決よりも,個々の会員の技術レベルの向上に比重が置かれるようになりました。
 耐火物技術協会の目的は定款第3 条に「耐火物に関する科学技術の進歩,普及及び耐火物に関連する産業の発展に寄与する」と定められています。この理念を踏まえたうえで,賛助会員(企業)と個人会員にどのような会員メリットを提供できるのか,という問題提起から活発な議論が行われました。その結果,専門委員会制度を廃止して名称を研究会に統一しての活動内容の見直し,耐火物研究助成の募集方法の見直し,耐火物誌の誌面構成の見直し等が決まりました。
 昨年度のこのような議論は,これまでの活動内容を当たり前だとは思わず,協会としてあるべき姿を考えて見直した点に大きな意義がありました。従来と同じ活動についても,昨年度の議論を踏まえて新鮮な気持ちで取り組むことで活性化につながると期待しています。特に耐火物誌の誌面構成については,アンケートに対して多数の回答と要望が寄せられ,関心の高さを実感しました。編集委員会任せではなく,本部理事と企画委員会も一緒になって耐火物誌の活性化に取り組みたいと考えています。
 今,世界は第四次産業革命とも呼ばれる脱炭素社会の実現に向けて産業構造の転換期にあります。そのなかで耐火物技術協会が社会の発展にどのように貢献し,会員皆様方にはどのようにお役に立てるのか?皆様とともに考え,努力して参りたいと思いますので,今後ともご支援,ご協力をお願い申し上げます。

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