年頭のご挨拶

会長 黒田浩太郎 

耐火物技術協会の皆様,新年明けましておめでとうございます。
 令和3 年の新春を迎えるにあたり,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 皆様今年のお正月は如何お過ごしになられたのでしょうか?恐らく,コロナ感染回避のため初詣や初売りなどはお控えになり,ご家族でのんびりとお過ごしになられたのではないでしょうか。
 昨年は春からの突然の新型コロナ禍に世界中が翻弄され続けた一年でした。何千万人の感染者,百何十万人の犠牲者を数え,経済の疲弊,雇用の激減などその被害は余りにも大きすぎ世界中の人々が非日常の生活を余儀なくされています。この原稿を書いている11月時点ではワクチン開発に目途が立ったという朗報があったばかりで一筋の光明が射した感もありますが,一方で感染拡大第3 波の様相も呈しまだまだ予断を許さない状況です。ワクチンが世界中に行き渡るには相当な時間がかかると思われ恐らく今年も我慢の状況が続くものと予想されます。
 こうした中,昨年の経済環境は一部の所謂「巣ごもり産業」以外の産業は全て大きな打撃を受け,とりわけ我々耐火物業界は最大のお客様である鉄鋼や他素材産業の低迷を受け各社も大幅な減産となりました。幸い秋口からは回復の兆しが見えて参りましたが,コロナ禍終息の見えない中,経済再生の道はまだまだ苦戦するものと予想されます。
 昨年の耐火物技術協会の活動においても皆様にいろいろとご不便ご迷惑をお掛け致しました。各種委員会・理事会などはWeb会議などで対応頂き進めることができました。一方,講演会等に関しては, 5 月の「セメント用耐火物研究会」は残念ながら中止となりました。その後の「原料専門委員会」「環境と耐火物研究会」は各主査と事務局のご努力でコロナ感染防止環境をクリアーできることを条件に規模縮小での開催に何とか漕ぎ着けることができましたが,「鉄鋼用耐火物専門委員会」は延期処置とさせて頂きました( 3 月8 日予定)。春の「総会」「年次講演会」もその時期のコロナ情勢や感染防止対策の環境状況などを鑑みながら開催の方法や有無を検討して参りたいと思います。以上の様に皆様には例年のような十分な協会活動をご提供できないかも知れませんが何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
 さて,ここでこの誌面をお借りして皆様にお願いがございます。現在当協会では,常任理事会・企画委員会・各委員会を中心に協会活動の抜本的な改革・再構築の検討を進めております。耐火物技術協会は昭和21年に発足,75年の歴史と伝統のある協会です。設立当時鉄鋼,セメントその他工業炉における国策としての大規模化や技術大変革を支える中心的素材として耐火物技術の変革推進が求められました。これに応えるべく官学・業界各社が協会設立の上,一致協力して技術レベルの向上に努めて参りました。その結果今や世界一と言っても過言ではない日本の耐火物技術の発展を実現できました。しかし時代は変わり,顧客である各素材産業や耐火物産業も成熟期に入り,またグローバル化も進む中で技術の競争や共有化も違った様相になっています。こうした環境の中でその時代に相応しい技術協会活動とは何かを改めて考え,会員の皆様にとって最も価値のある活動に変えて行きたいと考えています。
 具体的には委員会・研究会の在り方や方法,機関誌の内容,セミナー・講習会・教育活動の強化,研究助成金の在り方,大学との関係強化等々です。これらに関し皆様からの忌憚のないご意見を頂戴致したくお願い申し上げます。各支部を通しても,また直接事務局へのメールなどでも構いませんので是非とも皆様からの多くのご意見,ご提案をお待ちしております。
 最後に,皆様とご家族がコロナ禍に巻き込まれることなくご健康でご多幸の一年になりますことをお祈り致します。