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年頭挨拶

会長 加山恒夫

2013年の初頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 

昨年は,米国,中国,ロシア,フランス,韓国,北朝鮮,台湾など世界各国で新首脳が選出されました。そして我が国自身も,年末の総選挙で選出された新体制で,新年を迎えております。誠に大きな変動が続き,否応なしに政治を注視せざるを得ない状況です。われわれ企業人にとりましては,国の政治方針は,目先の経済状況のみならず,原料問題やエネルギー問題など企業の永続性に大きな影響を与えるものであります。海外諸国の動向と我が国の目指す方向に,これまで以上の注意を払わざるを得ない昨今です。

国内では,東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた地域の皆様が,復興に向けて一歩一歩着実に歩みを進めておられます。しかし,今もなお重い心の傷を負われている方々がいらっしゃるのも事実です。そのような方々の一日も早い立ち直りを心からお祈り申し上げると同時に,鉄鋼,非鉄金属,セメント,ガラスなどの社会の基盤となる素材産業を支える立場の私どもと致しましては,共に日本の復興へ貢献して参りたいと思っております。

製造業界の世界では,海外メーカーへの技術流出や,日本製品の市場でのシェア衰退などの問題が浮かび上がり,これまでのようなやり方ではいけないのではないかという反省も出てきました。日本の製造産業の多くは海外展開を図らざるを得ない,とはいうものの,今後は,これまでのような技術・製品ばかりに重きを置いたものではなく,トータルの事業として上手く成立させていくという考え方が必要になってくるのでしょう。そして,そのために大変重要なことは,国際的に活躍できる人材の育成と,最初から海外展開を狙った技術の開発だと思います。

耐火物技術協会としては,これまで以上に,人材育成,ならびに,海外を意識した活動に力を入れていきたいと考えております。

現在の日本の大学には耐火物を前面に掲げた講座がないという現状を鑑みますと,どのようにして若い方々に耐火物に目を向けてもらうかということが大きな問題です。この問題解決のためには大学の先生方に,耐火物というモノに興味を持っていただかなければなりません。これまで,耐火物に関わるご研究を進めておられる大学の先生方へは助成金という形で支援を行って参りましたが,更に一歩進めて,耐火物分野で最大の国際会議であるUNITECRへご出席される場合には,補助金をお出しすることも企画しております。

一方,当協会では,日本の耐火物評価規格と国際規格の整合性をとる,という活動を精力的に進めております。JIS規格をISO規格へ採用するよう提案し,それが実現しております。このような活動は我が国の耐火物産業の国際化のみならず,技術の優位性を示す意味で大変重要です。今後も標準化委員会を中心に継続的に行って参りたいと存じます。

また,耐火物技術分野のバイブル的存在である耐火物手帳の改訂を現在進めており,できるだけ早期の出版を行う所存です。若い技術者の拠り所となる書籍の存在は極めて重要です。耐火物誌の一層の充実と併せて,協会全体で取り組んで参ります。

さらに,技術の研鑽のみならず,同世代の技術者のコミュニケーションの場でもある各耐火物専門委員会,研究会ならびに各種講演会・講習会のより一層の活性化も図って参ります。同業他社あるいは異業種の技術者と顔を合わせて話をするということは,大変意義あるものだと考えております。各専門委員会ならびに各支部のなお一層のご支援をお願い申し上げる次第です。

そして,このほかの耐火物技術協会の活動につきましても,会員の皆様からのご意見,アドバイスなどを盛り込んだ,新たな試みを織り込んで参りたいと考えております。ご指導ご鞭撻のほどをどうかよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが,今年一年の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。