会長挨拶

就任挨拶

会長  平 初雄

本年4月20日に別府で開催されました総会において、野村前会長の後任として耐火物技術協会会長を務めることになりました平でございます。多くの諸先輩によって築かれた歴史ある耐火物技術協会を会員の皆様のご支援、ご協力をいただき、更に発展させるべく全力を尽くす所存です。皆様の絶大なるご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 平成27年度事業計画の概要は以下の通りであります。
(1)耐火物誌9月特集号のテーマは「無機材料の組織を制御する技術」として、大学・研究機関・企業の専門家に様々な最新技術を紹介していただく予定です。
(2)9月15日から18日オーストリアのウィーンで第14回目のUNITECRが開催され、ISO TC33委員会等にも当協会関係者が出席し、国際交流に努めます。UNITECRは1983年に当協会が中心となり開催された東京耐火物国際会議が発端であり、会議開催に奔走された諸先輩方に心からの敬意を表するとともに、今後の世界の耐火物技術の発展を目的に諸外国と連携し、積極的に活動いたします。 また、早いのではと驚かれるかもしれませんが、本年から2019年のUNITECR日本開催に向けた準備を企画委員会が中心となりUNITECR準備委員会を発足させ活動していく予定です。
(3)標準化活動では、蛍光X線用標準物質の充足、JISの改定及び新規作成、新たな物理試験法の検討、JISのISO規格化等に関しロードマップを整備して着実に実行していく所存です。
(4)2011年に赤本の通称で知られる耐火物手帳の在庫がなくなり、同年より新たな耐火物手帳編集委員会が組織され、内容の検討、執筆依頼、本全体を通しての改定作業が進められてきました。編集委員長のリーダーシップの下、関係者のご尽力により本年漸く耐火物手帳が出版される運びとなりました。多くの執筆者・査読者・編集委員会等関係の皆様方には心からお礼を申し上げる次第です。本手帳は若手の教科書及び中堅技術者の参考書としても充分に活用される手帳であることを確信しています。購入された皆様は、どうか内容を確認していただければと思います。
(5)本原稿が掲載される時には既に開催されておりますがセメント用耐火物研究会、鉄鋼用耐火物専門員会等各種専門委員会、研究会活動も例年通り実施してまいります。より良い学協会活動となりますよう皆様の積極的な参加、報告をお願いいたします。
(6)最後に各支部におきましても研究発表会、特別講演会、見学会を逐次開催致しますので、会員の皆様には積極的なご参加、ご協力をお願いいたします。

先の野村前会長が、会長就任挨拶で「さて、世界はめまぐるしく変化し予測は困難な時代です。あらゆることが短周期で、しかも大きな振幅で揺れ動いており未来を正確に予測することは不可能です。」と述べられている通り、例えば円/ドルレートでも、2011年約80円/ドル、2013年約100円/ドル、本年約120円/ドルと急激な変化が起こっており、現在耐火物メーカー各社は輸入している耐火物原料コストの増加が大きな経営課題となっていると思います。このような環境変化に直接的に対応することは困難ですが、着実に耐火物技術を進展させていくことが我々日本の耐火物技術者集団の務めだと思います。従来から導入に努めてきた有機化学、無機化学分野での新材料技術の導入などによる耐火物材料設計技術開発は当然のこととして、近年発展の著しい、計算熱力学や有限要素法等CAE技術を用いて材質から構造に至るまで研究開発を進めていくことが我々技術者集団の使命と考えています。特にCAE技術については大光炉材石川様より種々のフリーソフトが耐火物誌で紹介されており、会員の皆様も再度耐火物誌を読み直してみてはいかがでしょうか。

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