会長挨拶

年頭のご挨拶

会長 黒田浩太郎 

耐火物技術協会の皆様,新年明けましておめでとうございます。
 2020年の新春を迎えるにあたり,謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年は「平成」が終わり,「令和」の新しい時代が始まりました。改めて振り返ってみますと,「平成」はその名の通り日本にとっては比較的平和な30年でしたが,一方でいろいろな意味で変化が大きく早い時代でもありました。大国の均衡変化,グローバル化,IT技術の進展など私たちのビジネスや暮らしに様々な劇的変化をもたらしました。そして「令和」はこれらの「平成」の変化をベースにAI・IoTの進展,自動車産業の変革,アジアの発展など更なる変革の時代になるものと思われます。
 こうした中,我々耐火物業界を取り巻く環境は,「平成」の後半,中国環境問題に端を発した原料価格高騰や調達難などに見舞われましたが,お客様のご理解も頂きながら何とかこの問題を乗り越え,穏やかながらも比較的堅調な成長を遂げることができました。しかし,「令和」の時代に入ると一転,米中貿易摩擦の影響がじわじわと世界経済に影を落とし始め,当業界の最大の顧客である鉄鋼業界においても大変厳しい状況になりつつあるようです。このような環境下での耐火物技術に携わる我々の使命は,より安定した,より高寿命の付加価値を高めた耐火物をお客様へ提供することに尽きると思われます。そのためにも,耐火物技術協会は協会活動の様々な会を通じて,皆様の技術革新の糧となるような議論の場を提供して行きたいと考えております。
 さて,ここでこの紙面をお借りして会員の皆様にお礼を申し上げなくてはなりません。ご存じのように昨年10月13~16日 に 掛 け て パ シ フ ィ コ 横 浜 に て「UNITECR 2019」が開催されました。世界36 ヵ国からおよそ850人の参加者を得まして200余りの講演発表が行われました。恐らく過去最大規模のUNITECRであり大変有意義な国際学会にすることができました。4 年前から事務局を中心に取り組みを開始し, 2 年前に組織委員会を立ち上げて様々な準備をして参りました。直前の大型台風19号の襲来や,時(10/13)と場所を同じくしたラグビー WCの「日本vsスコットランド」戦による横浜地区ホテルの争奪戦などいくつかのハプニングもございましたが,官学の協賛者や協会関係者,産学のボランティアの方々や事務局の献身的なご努力のおかげで無事終了することが出来ました。改めて皆様に厚く御礼申し上げます。
 昨年度の協会活動の主だったものは,UNITECR開催の他に,耐火物標準物質販売事業における商流や在庫評価見直しなどによる事業体質改善,産学協同取り組みの研究開発助成金の充実などに取り組んで参りました。
 本年度の協会の主な取り組みとしては,機関誌「耐火物」の内容の充実化と投稿の活性化についての活動を強化したいと思っています。現在,編集委員会と企画委員会を中心に,学術誌としての位置づけ,日本セラミックス協会との新たな関連構築,機関紙のグローバル化など様々な観点から検討を開始致しました。また機関紙のみならず協会活動の活性化も含め,大学との更なる共同開発の充実や成果取得への道作り,高等専門学校や工業高校へのアプローチによる若者の耐火物技術への関心度向上なども同時に検討して参りたいと思います。
 その他,本年度の活動として,第73回通常総会および 第32回 年 次 学 術 講 演 会( 於: ウ ェ ル 戸 畑 4 /21・22),第36回セメント用耐火物研究会,第80回原料専門委員会,第19回環境と耐火物研究会,第 8 回鉄鋼用耐火物専門委員会講演会は例年通り開催予定です。また,各支部におきましても見学会,研究発表会,日本セラミックス協会との合同発表会など内容を充実させ計画しておりますので,会員の皆様の積極的なご参加をお願い致します。
 末尾となりますが,本年が耐火物ユーザー,メーカーの皆様にとって実りある明るい一年でありますことを期待するとともに,耐火物技術協会の各会員とご家族のご健康とご多幸を祈念申し上げます。

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